目次
route addコマンドとは
route addコマンドによって、Windows PCのルーティングテーブルにスタティックルートを登録することができます。
ルータやレイヤ3スイッチだけではなく、通常のPCもルーティングテーブルを持っています。そして、ルーティングテーブルに基づいてIPパケットをルーティングします。PCのルーティングテーブルは、基本的にはとてもシンプルです。主に、以下の2つのルート情報を登録しています。
- 直接接続のルート情報
- デフォルトルート(0.0.0.0/0)
上記以外に特定のネットワークアドレスのルート情報を登録したいときに、route addコマンドでルーティングテーブルに追加できます。
route addコマンドのフォーマット
route addコマンドはコマンドプロンプトから入力します。route addコマンドのフォーマットは以下のようになります。
route addコマンド
C:\>route add <network> mask <subnetmask> <next-hop> [-p]
<network> : ネットワークアドレス
<subnetmask> : サブネットマスク
<next-hop> : ネクストホップアドレス
-p : 再起動してもスタティックルートを維持する
他にもインタフェースやメトリックの指定がありますが、ここでは省略しています。
デフォルトでは、route addコマンドで登録したスタティックルートは、PCを再起動すると削除されます。「-p」のオプションを付けると、再起動してもスタティックルートは削除されないようにします。
なお、Windows PCのルーティングテーブルはroute printコマンドで確認できます。
Notice
route addコマンドを実行するには管理者権限が必要です。コマンドプロンプトは「管理者として実行」してください。
スタティックルートの変更、削除 route change/route delete
route change
route addコマンドで登録したスタティックルートの設定を変更するには、route changeコマンドを利用します。route changeコマンドのフォーマットは以下のようになります。
route change
C:\>route change <network> mask <subnetmask> <next-hop>
<network> : ネットワークアドレス
<subnetmask> : サブネットマスク
<next-hop> : ネクストホップアドレス
route changeコマンドでは、スタティックルートのネットワークアドレス/サブネットマスクを指定して、ネクストホップアドレスを更新します。
route changeメトリックを変更することもできます。上記のコマンドフォーマットではメトリックについては省略しています。
route delete
route addコマンドで登録したスタティックルートを削除するには、route deleteコマンドを利用します。route deleteコマンドのフォーマットは以下のようになります。
route deleteコマンド
C:\>route delete <network> mask <subnetmask> <next-hop>
<network> : ネットワークアドレス
<subnetmask> : サブネットマスク
<next-hop> : ネクストホップアドレス
route deleteコマンドでは、ネクストホップアドレスの指定は省略してもOKです。
Windows PCのスタティックルート設定例
スタティックルートの設定
Windows PCのルーティングテーブルにroute addコマンドで次のスタティックルートを登録します。
1.1.1.1/32 ネクストホップ 192.168.1.1
C:\WINDOWS\system32>route add 1.1.1.1 mask 255.255.255.255 192.168.1.1
OK!
C:\WINDOWS\system32>route print -4
===========================================================================
インターフェイス一覧
3...30 9c 23 67 ad 2d ......Realtek PCIe GBE Family Controller
12...00 ff 92 d3 8d b6 ......TAP-Windows Adapter V9 (for PixNSM)
11...00 50 56 c0 00 01 ......VMware Virtual Ethernet Adapter for VMnet1
9...00 50 56 c0 00 08 ......VMware Virtual Ethernet Adapter for VMnet8
1...........................Software Loopback Interface 1
===========================================================================
IPv4 ルート テーブル
===========================================================================
アクティブ ルート:
ネットワーク宛先 ネットマスク ゲートウェイ インターフェイス メトリック
0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.1.1 192.168.1.169 25
1.1.1.1 255.255.255.255 192.168.1.1 192.168.1.169 26
127.0.0.0 255.0.0.0 リンク上 127.0.0.1 331
127.0.0.1 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
127.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
192.168.1.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.1.169 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.1.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.16.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.16.1 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.16.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.37.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.37.1 291
192.168.37.1 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
192.168.37.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 127.0.0.1 331
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.1.169 281
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.16.1 291
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.37.1 291
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
===========================================================================
固定ルート:
ネットワーク アドレス ネットマスク ゲートウェイ アドレス メトリック
0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.127.1 1
===========================================================================
ネクストホップの変更
1.1.1.1/32のネクストホップアドレスを192.168.1.10に変更します。
C:\WINDOWS\system32>route change 1.1.1.1 mask 255.255.255.255 192.168.1.10
OK!
C:\WINDOWS\system32>route print -4
===========================================================================
インターフェイス一覧
3...30 9c 23 67 ad 2d ......Realtek PCIe GBE Family Controller
12...00 ff 92 d3 8d b6 ......TAP-Windows Adapter V9 (for PixNSM)
11...00 50 56 c0 00 01 ......VMware Virtual Ethernet Adapter for VMnet1
9...00 50 56 c0 00 08 ......VMware Virtual Ethernet Adapter for VMnet8
1...........................Software Loopback Interface 1
===========================================================================
IPv4 ルート テーブル
===========================================================================
アクティブ ルート:
ネットワーク宛先 ネットマスク ゲートウェイ インターフェイス メトリック
0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.1.1 192.168.1.169 25
1.1.1.1 255.255.255.255 192.168.1.10 192.168.1.169 26
127.0.0.0 255.0.0.0 リンク上 127.0.0.1 331
127.0.0.1 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
127.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
192.168.1.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.1.169 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.1.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.16.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.16.1 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.16.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.37.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.37.1 291
192.168.37.1 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
192.168.37.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 127.0.0.1 331
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.1.169 281
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.16.1 291
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.37.1 291
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
===========================================================================
固定ルート:
ネットワーク アドレス ネットマスク ゲートウェイ アドレス メトリック
0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.127.1 1
===========================================================================
スタティックルートの削除
1.1.1.1/32のスタティックルートを削除します。
C:\WINDOWS\system32>route delete 1.1.1.1 mask 255.255.255.255 192.168.1.10
OK!
C:\WINDOWS\system32>route print -4
===========================================================================
インターフェイス一覧
3...30 9c 23 67 ad 2d ......Realtek PCIe GBE Family Controller
12...00 ff 92 d3 8d b6 ......TAP-Windows Adapter V9 (for PixNSM)
11...00 50 56 c0 00 01 ......VMware Virtual Ethernet Adapter for VMnet1
9...00 50 56 c0 00 08 ......VMware Virtual Ethernet Adapter for VMnet8
1...........................Software Loopback Interface 1
===========================================================================
IPv4 ルート テーブル
===========================================================================
アクティブ ルート:
ネットワーク宛先 ネットマスク ゲートウェイ インターフェイス メトリック
0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.1.1 192.168.1.169 25
127.0.0.0 255.0.0.0 リンク上 127.0.0.1 331
127.0.0.1 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
127.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
192.168.1.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.1.169 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.1.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
192.168.16.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.16.1 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.16.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
192.168.37.0 255.255.255.0 リンク上 192.168.37.1 291
192.168.37.1 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
192.168.37.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 127.0.0.1 331
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.1.169 281
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.16.1 291
224.0.0.0 240.0.0.0 リンク上 192.168.37.1 291
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 127.0.0.1 331
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.1.169 281
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.16.1 291
255.255.255.255 255.255.255.255 リンク上 192.168.37.1 291
===========================================================================
固定ルート:
ネットワーク アドレス ネットマスク ゲートウェイ アドレス メトリック
0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.127.1 1
===========================================================================
IPルーティングのキホン
- ルータ ～ルーティングを行う中心的な機器～
- ルータでネットワークを分割
- レイヤ3スイッチ
- ルーティングの動作
- ルーティングテーブル
- ルーティングテーブルの作り方
- ホストルート ～/32のルート情報～
- スタティックルーティング？それともダイナミックルーティング？ ～設定の考え方の違い～
- スタティックルーティングとダイナミックルーティング(RIP)の設定の比較
- スタティックルートのメリット・デメリット
- ルーティングプロトコルのメリット・デメリット
- ルート情報をアドバタイズする意味
- 宛先ネットワークまでの距離を計測 ～アドミニストレイティブディスタンスとメトリック～
- 等コストロードバランシング
- ルート集約 ～まとめてルーティングテーブルに登録しよう～
- デフォルトルート ～究極の集約ルート～
- 最長一致検索(ロンゲストマッチ) ～詳しいルート情報を優先する～
- インターネットのルート情報を見てみよう AT&T Looking Glass
- ルーティングプロトコルの分類 ～適用範囲～
- ルーティングプロトコルの分類 ～アルゴリズム～
- ルーティングプロトコルの分類 ～ネットワークアドレスの認識(クラスフルルーティングプロトコル/クラスレスルーティングプロトコル)～
- Cisco スタティックルートの設定
- ip default-network ～特定のルート情報に「*」をつける～
- スタティックルートをバックアップに ～フローティングスタティック～
- スタティックルートの設定を一歩ずつわかりやすく行う設定例[Cisco]
- Ciscoスタティックルーティングの設定例
- IPルーティング基礎演習Part1
- IPルーティング基礎演習Part2
- IPルーティング基礎演習Part3
- Windows PCのスタティックルートの設定 route addコマンド
- RIPの概要
- RIPの動作 ～RIPルート情報を定期的に送りつける～
- RIPスプリットホライズン
- RIPタイマ
- RIPルートポイズニング ～不要なルート情報を速やかに削除～
- Cisco RIPの設定と確認
- Cisco RIPの設定例
- RIPでのデフォルトルートの生成 ～スタティックルートの再配送～
- RIPでのデフォルトルートの生成 ～default-information originate～
- RIPでのデフォルトルートの生成 ～ip default-network～
- RIP 設定ミスの切り分けと修正 Part1
- RIP 設定ミスの切り分けと修正 Part2
- RIP 設定ミスの切り分けと修正 Part3
- RIP 設定ミスの切り分けと修正 Part4
- パッシブインタフェース(passive-interface) ～ルーティングプロトコルのパケット送信を止める～
- 転送経路を決定する方法 ～アドミニストレイティブディスタンス/メトリックと最長一致検索～
- デフォルトゲートウェイの詳細 ～ホストもルーティングしている～
- デフォルトゲートウェイの冗長化の概要
- Cisco HSRPの仕組み
- Cisco HSRP 仮想ルータ宛てのパケットがアクティブルータへ転送される仕組み
- Cisco HSRPトラッキング ～より柔軟にアクティブルータを切り替える～
- Cisco HSRP設定と確認
- Cisco HSRPの負荷分散
- HSRP 設定ミスの切り分けと修正 Part1
- VRRPの仕組み
- VRRPの設定と確認コマンド [Cisco]
- ルーティングテーブルのトラッキング(Cisco HSRP/VRRP)
- Cisco HSRP ルーティングテーブルのトラッキング設定例
- VRRP ルーティングテーブルのトラッキング設定例
- GLBPの仕組み
- Cisco GLBPの設定と確認
- Cisco GLBPの設定例
- HSRP/VRRP/GLBPのアドレス情報のまとめ