HSRPの負荷分散のポイント

HSRPはデフォルトゲートウェイとして動作するルータ/レイヤ3スイッチを冗長化するためのプロトコルです。HSRPの設定を工夫するとデフォルトゲートウェイの冗長化だけではなく、負荷分散も可能です。

HSRPでデフォルトゲートウェイの負荷分散を行うには、以下の2つの方法があります。

  • ネットワーク(VLAN)ごとにアクティブ/スタンバイルータを振り分ける
  • 1つのネットワーク内で複数のHSRPグループを作成してアクティブ/スタンバイルータを振り分ける(MHSRP)
HSRPの負荷分散の考え方は、全く同じようにVRRPでも適用できます。

ネットワーク(VLAN)ごとにアクティブ/スタンバイルータを振り分ける

ホストが接続しているネットワーク(VLAN)ごとにアクティブ/スタンバイルータを振り分けることで負荷分散できます。以下のネットワーク構成で考えます。

図 ネットワークごとのHSRP負荷分散
図 ネットワークごとのHSRP負荷分散

PC1とPC2がそれぞれ異なるネットワークに接続されています。PC1が接続している192.168.1.0/24のネットワークについてR1とR2でHSRPを設定します。仮想IPアドレスは192.168.1.254でR1をアクティブルータとします。PC1のデフォルトゲートウェイには仮想IPアドレス192.168.1.254を設定します。

図 192.168.1.0/24のHSRPの構成
図 192.168.1.0/24のHSRPの構成

R1

interface FastEthernet0/0
 standby 1 ip 192.168.1.254
 standby 1 priority 150
 standby 1 preempt

R2

interface FastEthernet0/0
 standby 1 ip 192.168.1.254
 standby 1 preempt

PC2が接続している192.168.2.0/24のネットワークについてR1とR2でHSRPを設定します。仮想IPアドレスは192.168.2.254でR2をアクティブルータとします。PC2のデフォルトゲートウェイには仮想IPアドレス192.168.2.254を設定します。

図 192.168.2.0/24のHSRPの構成
図 192.168.2.0/24のHSRPの構成

R1

interface FastEthernet0/0
 standby 2 ip 192.168.2.254
 standby 2 preempt

R2

interface FastEthernet0/0
 standby 2 ip 192.168.2.254
 standby 2 priority 150
 standby 2 preempt

すると、PC1から他のネットワークへパケットを送信するときにはR1を経由します。PC2から他のネットワークへパケットを送信するときにはR2を経由します。こうしてR1とR2でデフォルトゲートウェイの負荷分散が可能です。

図 PCから他のネットワーク宛てのパケットの転送
図 PCから他のネットワーク宛てのパケットの転送

1つのネットワーク(VLAN)内で複数のHSRPグループを作成してアクティブ/スタンバイルータを振り分ける(MHSRP)

1つのネットワーク内で複数のHSRPグループを作成することができます。複数のHSRPグループの仮想ルータに対して、アクティブ/スタンバイルータを振り分けることで負荷分散を行います。1つのネットワーク内で複数のHSRPグループを作成する負荷分散の方法をMHSRP(Multiple HSRP)と呼んでいます。以下のネットワーク構成で考えます。

図 MHSRPの負荷分散
図 MHSRPの負荷分散

192.168.1.0/24のネットワーク上でR1とR2でHSRPの設定を行います。2つのHSRPグループを設定して仮想ルータを2つ作成します。次のように2つの仮想ルータに対してR1とR2でアクティブルータを振り分けます。

仮想ルータ仮想IPアクティブルータ
VR1192.168.1.101R1
VR2192.168.1.102R2
表 MHSRPの負荷分散の設定

R1

interface FastEthernet0/0
 standby 1 ip 192.168.1.101
 standby 1 priority 150
 standby 1 preempt
 standby 2 ip 192.168.1.102
 standby 2 preempt

R2

interface FastEthernet0/0
 standby 1 ip 192.168.1.101
 standby 1 preempt
 standby 2 ip 192.168.1.102
 standby 2 priority 150
 standby 2 preempt

MHSRPでは、ルータの設定だけでは負荷分散できません。PCのデフォルトゲートウェイの設定も振り分けなければいけません。PC1のデフォルトゲートウェイには192.168.1.101を設定し、PC2のデフォルトゲートウェイには192.168.1.102を設定します。

図 MHSRPによる負荷分散の構成
図 MHSRPによる負荷分散の構成

PC1から他のネットワーク宛てのパケットはR1を経由し、PC2から他のネットワーク宛てのパケットはR2を経由するようになり、R1とR2でデフォルトゲートウェイの負荷分散が可能です。

図 PCから他のネットワーク宛てのパケットの転送(MHSRP)
図 PCから他のネットワーク宛てのパケットの転送(MHSRP)

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