目次
概要
2台のルータR1/R2で最も基本的なルーティングの設定を行います。以下の点を実際に設定することで確認してください。
- ルーティングテーブルに登録されていないネットワーク宛てのデータはルーティングできない
- ルータはIPアドレスを設定することでネットワークを接続する
- ルータに直接接続されていないリモートネットワークのルート情報をスタティックルートの設定でルーティングテーブルに登録する
ネットワーク構成
設定条件
- R1/R2にIPアドレスを設定して、192.168.1.0/24、192.168.2.0/24、192.168.0.0/24のネットワークを接続します。
ルータ | インタフェース | IPアドレス |
R1 | FastEthernet0/0 | 192.168.1.254/24 |
FastEthernet0/1 | 192.168.0.1/24 | |
R2 | FastEthernet0/0 | 192.168.2.254/24 |
FastEthernet0/1 | 192.168.0.2/24 |
- PC1-PC2間で通信できるように、R1/R2に適切なスタティックルートの設定を行います。
初期設定
PC1/PC2
- IPアドレス/サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイのIPアドレス
設定と確認
Step1:IPアドレスの設定
R1/R2のインタフェースにIPアドレスを設定して、ネットワークの相互接続を行います。
R1 IPアドレス設定
interface FastEthernet0/0 ip address 192.168.1.254 255.255.255.0 no shutdown ! interface FastEthernet0/1 ip address 192.168.0.1 255.255.255.0 no shutdown
R2 IPアドレス設定
interface FastEthernet0/0 ip address 192.168.2.254 255.255.255.0 no shutdown ! interface FastEthernet0/1 ip address 192.168.0.2 255.255.255.0 no shutdown
no shutdownでインタフェースを有効化することを忘れないでください。
Step2:IPアドレスとルーティングテーブルの確認
R1/R2で設定したIPアドレスを確認します。また、ルーティングテーブルにDirectly Connectedのルート情報が登録されていることを確認します。
IPアドレスの確認には、show ip interface briefコマンドがわかりやすいです。ルーティングテーブルは、show ip routeコマンドで表示されます。
R1 show ip interface brief/show ip route
R1#show ip interface brief Interface IP-Address OK? Method Status Protocol FastEthernet0/0 192.168.1.254 YES manual up up FastEthernet0/1 192.168.0.1 YES manual up up R1#show ip route Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2 i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2 ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route o - ODR, P - periodic downloaded static route Gateway of last resort is not set C 192.168.0.0/24 is directly connected, FastEthernet0/1 C 192.168.1.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0
R2 show ip interface brief/show ip route
R2#show ip interface brief Interface IP-Address OK? Method Status Protocol FastEthernet0/0 192.168.2.254 YES manual up up FastEthernet0/1 192.168.0.2 YES manual up up R2#show ip route Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2 i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2 ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route o - ODR, P - periodic downloaded static route Gateway of last resort is not set C 192.168.0.0/24 is directly connected, FastEthernet0/1 C 192.168.2.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0
Step3:通信確認
ルーティングテーブルに直接接続のネットワークのルート情報が登録されているので、通信できます。R1は、自身が直接接続している192.168.1.0/24と192.168.0.0/24のネットワーク宛ての通信が可能です。
R1 通信確認
R1#ping 192.168.1.100 Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.1.100, timeout is 2 seconds: .!!!! Success rate is 80 percent (4/5), round-trip min/avg/max = 48/66/72 ms R1#ping 192.168.0.2 Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.0.2, timeout is 2 seconds: .!!!! Success rate is 80 percent (4/5), round-trip min/avg/max = 56/70/76 ms
R2は、自身が直接接続している192.168.2.0/24と192.168.0.0/24のネットワーク宛ての通信が可能です。
R2 通信確認
R2#ping 192.168.2.100 Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.2.100, timeout is 2 seconds: .!!!! Success rate is 80 percent (4/5), round-trip min/avg/max = 48/59/72 ms R2#ping 192.168.0.1 Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.0.1, timeout is 2 seconds: !!!!! Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 72/76/80 ms
ところが、R1は192.168.2.0/24宛てには通信できません。R1からPC2だけでなく、R1からR2の192.168.2.254宛てのPingも失敗です。R1からR2の192.168.0.2宛てのPingは成功しているにも関わらずです。
R1 192.168.2.0/24への通信
R1#ping 192.168.2.100 Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.2.100, timeout is 2 seconds: ..... Success rate is 0 percent (0/5) R1#ping 192.168.2.254 Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.2.254, timeout is 2 seconds: ..... Success rate is 0 percent (0/5)
同じように、R2は192.168.1.0/24宛てには通信できません。
R2 192.168.1.0/24への通信
R2#ping 192.168.1.100 Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.1.100, timeout is 2 seconds: ..... Success rate is 0 percent (0/5) R2#ping 192.168.1.254 Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.1.254, timeout is 2 seconds: ..... Success rate is 0 percent (0/5)
ルーティングテーブルに登録されていないネットワーク宛てのIPパケットは、ルーティングすることができずに破棄します。
Step4:リモートネットワークの洗い出し
ルーティングテーブルにDirectly Connectedのルート情報のみでは、不十分です。それぞれのルータに直接接続されていないリモートネットワークのルート情報も正しくルーティングテーブルに登録します。
スタティックルートでリモートネットワークのルート情報を登録するときには、それぞれのルータで登録するべきリモートネットワークを明確にすることが重要です。この演習のようなシンプルなネットワーク構成であればわざわざ洗い出さなくても問題ありませんが、設定ミスや設定漏れを防ぐためにはリモートネットワークを明確にしてください。
ルータ | リモートネットワーク | ネクストホップ |
R1 | 192.168.2.0/24 | 192.168.0.2(R2) |
R2 | 192.168.1.0/24 | 192.168.0.1(R1) |
Step5:スタティックルートの設定
Step4で明確にしたリモートネットワークのルート情報をip routeコマンドで登録します。
R1 スタティックルートの設定
ip route 192.168.2.0 255.255.255.0 192.168.0.2
R2 スタティックルートの設定
ip route 192.168.1.0 255.255.255.0 192.168.0.1
Step6:スタティックルートと通信確認
スタティックルートの設定を確認します。show ip route staticコマンドでルーティングテーブルを表示すると、コード「S」のスタティックルートが登録されていることがわかります。
R1 show ip route static
R1#show ip route static S 192.168.2.0/24 [1/0] via 192.168.0.2
R2 show ip route static
R2#show ip route static S 192.168.1.0/24 [1/0] via 192.168.0.1
R1とR2のルーティングテーブルに正しくスタティックルートが登録されているので、演習環境のネットワークで通信可能です。PC1からPC2へPingを実行すると、正常に応答が返ってきます。
PC1からPC2へPing
PC1> ping 192.168.2.100 84 bytes from 192.168.2.100 icmp_seq=1 ttl=62 time=61.146 ms 84 bytes from 192.168.2.100 icmp_seq=2 ttl=62 time=61.759 ms 84 bytes from 192.168.2.100 icmp_seq=3 ttl=62 time=61.576 ms 84 bytes from 192.168.2.100 icmp_seq=4 ttl=62 time=63.103 ms 84 bytes from 192.168.2.100 icmp_seq=5 ttl=62 time=61.004 ms
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