マルチキャストルーティングその3

ディストリビューションツリーの種類

マルチキャストパケットの経路となるディストリビューションツリーは、次の2つの種類があります。マルチキャストルーティングプロトコルによって、どちらのツリーを使うか、あるいはどのように2つのツリーを組み合わせるかが違ってきます。

  • 発信元ディストリビューションツリー
  • 共有型ディストリビューションツリー

今回はこの2種類のディストリビューションツリーについて解説しましょう!

発信元ディストリビューションツリー

発信元ディストリビューションツリーは、名前の通りマルチキャストの発信元つまりSenderを中心としてディストリビューションツリーを作成します。

発信元ディストリビューションツリーは、SenderとReceiverの最短経路になっています。
もし、他のマルチキャストグループのSenderがあれば、そのSenderを中心として別のディストリビューションツリーが作成されます。Senderが中心なんだというところが発信元ディストリビューションツリーの特徴です。

マルチキャストグループのSenderごとにディストリビューションツリーが作られることになるので、Senderがたくさんいればいるほどたくさんのディストリビューションツリーによるマルチキャストパケットのトラフィックがネットワークを圧迫してしまうことになります。

共有型ディストリビューションツリー

共有型ディストリビューションツリーは、複数のSenderがあってもひとつのディストリビューションツリーを共有して、マルチキャストパケットのルーティングを行います。ツリーを共有するために中心となるルータをひとつ決めて、そのルータを基準にして、Receiverまでのディストリビューションツリーを作成していきます。

この中心となるルータは、マルチキャストルーティングプロトコルによって呼び方が違いますが、「ランデブーポイント」とか「コアルータ」と呼ばれます。最もよく利用されているマルチキャストルーティングプロトコルのPIMでは「ランデブーポイント」と呼んでいます。

共有型ディストリビューションツリーでは、次の図のように赤と青という複数のマルチキャストグループがあってもランデブーポイントを中心として、共通のディストリビューションツリーを経由してマルチキャストパケットがルーティングされていきます。

共有型ディストリビューションツリーでは、マルチキャストのグループが多くなってもツリーはひとつです。ですから、マルチキャストパケットがネットワークに与える影響が少なくなります。その反面、必ずしも最適な経路を通ることができないという欠点があります。

発信元と共有型の選択

発信元ディストリビューションツリーか共有型ディストリビューションツリーかの選択は、マルチキャストルーティングプロトコルによって変わってきます。
マルチキャストルーティングプロトコルには、Dense(デンス)モードとSparse(スパース)モードと言う種類があり、一般的にDenseモードのマルチキャストルーティングプロトコルは発信元ディストリビューションとをつくり、Sparseモードのプロトコルは共有型ディストリビューションツリーをつくります。

次回は、マルチキャストルーティングプロトコルのDenseモードとSparseモードの違いについて見ていきたいと思います。お楽しみに!

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