デフォルトゲートウェイを冗長化しても・・・
クライアントPCが他のサブネットを通信したいとき、デフォルトゲートウェイ (ルータ)あてにパケットを送信します。デフォルトゲートウェイとして設定す るIPアドレスは、クライアントPCと同じサブネット上のルータのIPアドレスで す。そして、デフォルトゲートウェイの設定は、DHCPによる自動設定であって も手動設定でも、1つのIPアドレスを設定します。
デフォルトゲートウェイのIPアドレスを基本的に1つしか設定しないことから、 デフォルトゲートウェイとなるルータを冗長化しても、ルータ障害時に意図し たとおりに他のサブネットとの通信を継続できません。クライアントPCでデフ ォルトゲートウェイとしているルータがダウンしても、自動的にデフォルトゲ ートウェイの設定は切り替わらないからです。
デフォルトゲートウェイがダウンしたら、クライアントPCのデフォルトゲート
ウェイのIPアドレスを他のルータのIPアドレスに変更すればいいわけですが、
非常に手間がかかります。これでは、デフォルトゲートウェイを冗長化した意
味があまりありません。
そこで、クライアントPCに対するデフォルトゲートウェイの冗長化を行うとき
には、VRRPを利用します。VRRPによってクライアントPC側でデフォルトゲート
ウェイのIPアドレスを変更することなく、透過的にデフォルトゲートウェイの
切り替えを行うことができます。
VRRPを使いましょう!
冗長化したい複数のルータでVRRPを動作させると、VRRPのメッセージ(VRRP Advertisement) を交換し仮想ルータを構成します。仮想ルータは仮想IPアドレス、仮想MACア ドレスを持っています。そしてVRRPを設定しているルータはマスタ/バックア ップという役割が割り当てられます。マスタルータは、仮想ルータあてのパケ ットを処理するルータです。バックアップルータはマスタルータがダウンした ときに、マスタルータの役割を引き継ぐルータです。マスタルータは1台のみ でバックアップルータは複数存在することがあります。どのルータをマスタル ータにするかは設定によって決めることができます。
※仮想IPアドレスおよび仮想MACアドレスはVRRPの設定によって決めることが
できます。マスタルータの実IPアドレスを仮想IPアドレスとして使用するこ
ともできます。仮想MACアドレスは、00-00-5E-00-01-[ID]というフォーマットです。
※VRRP Advertisementはマルチキャストアドレス 224.0.0.18 で送信されます。
※複数の仮想ルータを設定し、負荷分散を行うことも可能です。
※同様の機能を実現するCisco独自のHSRP(Hot Standby Router Protocol)もあ
ります。
VRRPの動作の仕組み
マスタルータが仮想ルータあてのパケットを処理するということをもう少し具
体的に考えます。マスタルータとなったルータは、インタフェースに設定され
ているIPアドレスと仮想ルータのIPアドレスの両方を持っていると考えてくだ
さい。MACアドレスも同様に、実MACアドレスと仮想MACアドレスの両方を持っ
ています。したがって、あて先が仮想MACアドレスや仮想IPアドレスであるパ
ケットはマスタルータが処理することになります。
そして、クライアントPCでのデフォルトゲートウェイのIPアドレスは、VRRPの
仮想IPアドレスを設定します。クライアントPCが他のサブネットと通信すると
きは、パケットをデフォルトゲートウェイである仮想ルータにパケットを送信
します。そのパケットは、マスタルータへ転送されて、マスタルータがルーテ
ィングを行います。
VRRPを動作しているルータはお互いにVRRP Advertisementを定期的に送信しま す。VRRP Advertisementによって、マスタルータの選出や仮想IPアドレスの共 有、そしてお互いのルータが正常に動作しているかどうかを確認しています。 マスタルータがダウンして、マスタルータからのVRRP Advertisementが届かな くなると、バックアップルータがマスタルータの役割を引き継いで新しいマス タルータとなります。
マスタルータが引き継がれても、クライアントPC側では他のサブネットに通信 するときは、それまでと同じように仮想ルータあてにパケットを送信します。 すると、そのパケットは自動的に新しいマスタルータへ転送されて、他のサブ ネットとの通信を継続することができます。









